豊丘時竹の続続「平素の戯言」

エッセイでもコラムでも随筆でもなく、ミセラニーです。

言語学概論4

 昨日の言語学概論4,5をまとめたい。


 言語学概論4、5で文法論を扱う。今回は、「言語学概論4」として、「形態論」を扱う。次回、「言語学概論5」として、「統語論」を扱う。


 文法論とは、話し手が頭の中に持っている、当該言語のすべての規則の体系を扱うものである。したがって広くは音素なども扱うものである。
 なお、音素とは、意味の違いをもたらす最小の音の単位のことである。
 しかし、せまくとれば、「文法論」とは「形態論」と「統語論」のことである。で、ここでは、「形態論」だけをまず取り扱う。


 言語の二重分節性
  フランスの言語学者アンドレ・マルティネが唱えた説である。ことばは、思考のまとまりである発話が、まず意味上の最小単位である形態素に分けられ、さらに形態素は音声上の最小単位である音素に分けられる、という特性をもつことをいう。
 形態素、音素という「細かいブロック」でできているので、発話をなすことができるのである、ということを主張したのである。

 形態素に分ける
  意味の最小単位のことを「形態素」とよぶが、言葉は、1語で形態素をなすものもあれば、1語がいくつかの形態素に分けられるものもある。
 「雨」は1語で形態素であるが、「春雨」は「はる」「さめ」という2語の形態素に分けられる。ここで「さめ」は「あめ」の「異形態」という。また食べ物の「はるさめ」も「春の雨のように細いもの」ということからきている言葉で「はる」「さめ」と二つの形態素に分けられる。「水っぽい」は「水」「っぽい」の二つの形態素、「さかな」は「さか」「な」の二つ、「さ迷い出る」は「さ」「迷い」「出る」の三つの形態素に分けられる。また、活用語尾なども含め、文法を表すものは、形態素とする。

 形態素の種類
  自由形態素
   単独で語になれるもの
  拘束形態素
   単独で登場できない接辞などは、拘束形態素に分類する。日本語の屈折語尾を拘束形態素とする考えもある。「書く」の「く」などである。この立場からは、「高く」などは、「たか」「く」とも単独では意味をなさないので、どちらも拘束形態素に分類される。

 語根と接辞
  語根、語のもっとも基になる形のもの。語彙内容のあるこれ以上分割できない形態素のことをいう。
  語基、派生形態素が付き得るものの意味である。[語根とほとんど同じ]
  接辞、品詞を変えたりするものをいう。派生形態素と屈折形態素に分ける。
   派生形態素、意味を付け加えたり品詞を変えたりする形態素
   屈折形態素、テンス、アスペクト、数などを変えるもの。文法的形態素ともいう。日本語では活用語尾などがこれである。
   「豊かさ」の「さ」が派生形態素である。
   「高く」の「く」は屈折形態素である。

 形態素と言語
  形態素により語彙内容を変えて、文全体の意味を変える言語を、屈折語という。インド・ヨーロッパゴ族がこれである。語順に頼らないで意味が分かる。
  語順によって意味を変える言語を、孤立語という。中国語がこれである。動詞を中心に、前か後で、主格か目的格が分かる。
  機能語をくっつけることで意味を変える言語を、膠着語という。日本語はこれである。

 異形態
  環境に応じて異なった形で現れた一つの形態素の様々な形のことをいう。匹の「ひき」「ぴき」「びき」などがこれである。
  「た」と「だ」は、「ガ、バ、マ、ナ」行の五段活用の動詞のときだけ「だ」になる。
「泳いだ」「飛んだ」「呼んだ」「読んだ」「死んだ」などである。ここだけで出てくるだけなので、「た」の「相補分布である」という。

 造語法
  新しい語をつくること。全く新しい語根を作り出すことを語根創造というが、そのようなことはほとんどない。人名・商品名をつけるさいに語根を創造することもありうるが、今までにある形態素を利用して命名するのが普通である。
  合成、二つ以上の形態素をくっつけて新しい語をつくる方法である。
   複合語、二つ以上の語基をくっつける方法。春風、桜前線、通り抜ける
   派生語、一つの語基に接辞をくっつける方法である。春めく、素肌、学生っぽい
   単純語、一つの形態素からなる語
  借用、ほかの言語体系から取り入れられ、日常的に使われるようにようになる語。外来語とほぼ同じ意味だが、借用語と外来語を区別することもある。
   借用語、おとや意味を変えて取り入れられた語
   外来語、もとの外国語と全く同じ音や意味の語。ホットドッグなども借用語であって、外来語ではない。日本語に外来語はないと考えてよい。
   固有語、もともとその言語に存在する語。日本語には、固有語、中国からの借用語である漢語、比較的新しい西洋からの借用語[一般に外来語と呼ばれている]からなる。
   翻訳借用(なぞり)、外国語の構成成分をそれぞれ直訳してくっつける方法をいう。摩天楼などがそれである。
  転成、語形を変えずに別の品詞として使う方法をいう。動詞の連用形を名詞として使うことがこれである。
  縮約、あけおめ、よろおね、電卓、パソコン
  造語法の分類、一番最後の造語法で分類する。
  混交、くっつくとともに縮められているもの。縮められていないものは、言葉として存在しない。「春めく」で「春」も「めく」も言葉として存在するが、「やぶる」「さく」の縮約形「やぶく」という語はあっても、「やぶるさく」という語はない。「微苦笑」は「微笑」「苦笑」の縮約形であるが、「微笑苦笑」という言葉はない。こういう例を混交という。
  頭文字語、NHKなど
  逆成、もともとの語を短くしてできた語で、接辞だと考えて切り落として作ったもの。例としては英語しか出てないが、たとえば「editor」(編集者)は、「or」が「人」を表す接尾辞だと誤解して、それを切り落とせば「編集する」になると誤解されて「edit」(編集する)がつくられた例などが挙げられている。
  人名などから
   サンドイッチ、ゼロックス、ロボットなど
  畳語、山々、生き生き、どんどん


 リフレーン
 日本は原爆をもとう。


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