豊丘時竹の続続「平素の戯言」

エッセイでもコラムでも随筆でもなく、ミセラニーです。

尖閣諸島衝突問題のまとめ

 尖閣諸島沖衝突事件の結果については、太田述正ブログ二編①#4283(2010.9.29)、②#4285(2010.9.30)が、とてもよくまとめてある、と私には思われる。それぞれから、ポイントと考えた部分を選んで貼り付ける(太字)。読者諸氏、URLをクリックしてぜひ全文をお読みくださるよう、お願い申し上げる。この二つのブログやそれまでのブログを読めば、今回の民主党の対応は、巷間言われているような弱腰の対応ではなく、むしろ日本側がうまく立ち回ったと理解される。日本、けっこうやるじゃないか。
 なお、<<太田>>は、太田氏の書き込みの途中からの引用を示す。


 URL①は 
   http://blog.ohtan.net/archives/52029691.html


<<太田>>
問題は、タナカが示唆しているように、軍事的に意味があるかどうかだ。

 北米航路は南米航路でもあるが、仮に中共と台湾の「緩い政治統合」ができたとすれば、中共は、台湾の港湾経由で、あるいは台湾の周辺海域から北米/南米航路に問題なくアクセスで きるようになるし、台湾との「緩い政治統合」ができていない現状が続くとすれば、中共は、米国及び米国の属国である日本と敵対していなければ北米/南米航路に問題なくアクセスできるが、仮に敵対するようになれば、日本列島・琉球列島・フィリピン群島の第一次列島線を突破して北米/南米航路に商船団を送り込んだところで、米国やカナダとの貿易ができるわけでもなし、南米諸国のうち米国の意向に逆らって中共との貿易を続けてくれる国があったとしても、途中に米海空軍が待ち構えているので、中共の船団は南米まで到達できないだろう。
 つまり、尖閣諸島の帰趨、中共にとって、軍事的には何の意味もないのだよ。


 私は、中共が今回、尖閣諸島でことを起こしたのは、「国内における「期待値」と現実の落差の問題」が深刻化して中共当局にとって「断末魔の苦しみ」に転化する前に、ナショナリズム・カードが今なお有効かどうか(イザという時に本格的にこのカードを切れるかどうか)を小出しにやってみて検証しようとしたのだと見ている。
 しかし、結果的には、中共国内で反日ムードが全く高まらず、もはや日本をダシにしたナショナリズム・カードなんて切れないことがはっきりしてしまったってわけさ。


 それどころではない。
 中共は、本件で、米国を始めとして、その豹変ぶりがはっきりした・・というか、ネコかぶってた本来の正体が露見した・・として、世界中の国々の顰蹙を買ってしまった。
 胡錦涛体制の大失態だと言うべきだろう。↓

 ・・・Over the past decade, China has kept silent, lain low and behaved more like a multinational company than a global superpower -- and garnered enormous political influence as a result. ・・・
 Why on earth are the Chinese playing military games with Japan, threatening Southeast Asia or entering politics at all? When they stay silent, we ignore them. When they threaten boycotts or use nationalist language, we get scared and react. ・・・
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2010/09/27/AR2010092704658_pf.html


   ②は
   http://blog.ohtan.net/archives/52030047.html


<<太田>>
それはともかく、以下のくだり、行間を読むまでもなく、中共当局が悲痛な全面降伏宣言を行ってること、分かるだろ。↓

 「・・・日本の右翼たちのわめき立てを恐れる必要はなく、西方の世論の辛辣な風刺を恐れる必要もなく、中日関係に新たな予想のことが出てくることを懸念することもない。これまでの何度かの摩擦が、「天が崩れ落ちてくるのではない」ことを証明している。中国からの対抗措置が平和的で、中国社会がいかなるとき冷静さを保ちさえすれば、われわれは中日関係のすべての波風ひいては悪化を耐えることができる。 
 中国社会は改革開放に忙しく、「反日」の要もまったくない。また、そんな気持ちもない。・・・」
http://j.peopledaily.com.cn/94474/7150630.html


 そして、中共当局、早速行動によって恭順の意思を裏付けた。↓

 「・・・中国当局に事実上拘束されていた日本の準大手ゼネコン、フジタ・・・の社員ら日本人4人のうち3人が釈放された・・・」
http://www.asahi.com/international/update/0930/TKY201009300148.html
 「・・・中国政府関係者も「スパイ行為なら4人で一緒で行動するはずはない」と微罪であること認めていた。・・・」
http://sankei.jp.msn.com/world/china/100930/chn1009301305006-n1.htm

 残りの1人の解放も近いだろう。


 最後に、「中共は、本件で、・・・その豹変ぶりがはっきりした・・というか、ネコかぶってた本来の正体が露見した・・として、世界中の国々の顰蹙を買ってしまった」(コラム#4283)ことを裏付けるものを本日もあげておこう。↓

 ・・・Chris Nelson, editor of a Washington newsletter, coined the ungainly (but useful) term “Putinizing”. Like Russia under Vladimir Putin, he said, China was playing to domestic nationalism by hardening previously friendly attitudes to its neighbours. Denny Roy, senior fellow at Hawaii university’s East-West Center, said China’s view of the Asia-Pacific ultimately “doesn’t have room for the degree of American influence we see today”. That could put the two sides on a “collision course”. ・・・
 Beijing may believe it has outgrown Deng Xiaoping’s exhortation to “hide our capabilities and bide our time”. It may feel, in Mr Roy’s words, that now is the time to “push the system into a shape more to China’s liking”. ・・・
http://www.ft.com/cms/s/0/8dda2188-cbf5-11df-bd28-00144feab49a.html


 リフレーン
 集団的自衛権の行使を首相に決断させよう
 http://blog.ohtan.net/archives/52004075.html


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