豊丘時竹の続続「平素の戯言」

エッセイでもコラムでも随筆でもなく、ミセラニーです。

「財政」は国家の礎

『保守の心得』(倉山 満)の第三章を読み、私の考えをまとめておく。


 筆者は、125ページに結論(太字)を書いている。


 しかし今の日本は、まず経済を建て直さなければ、とてもじゃないけれど軍事や政治の話などできない、というところまで追い込まれています。


 私は、これが結論であれば、
「経済を建て直すには、まず財政を建て直さなければならない。だから財政の赤字を解消するために、増税、すなわち消費税増税をしなければならない」
と持ってこられるに違いない、と考えている。


『保守の心得』を第三章まで読んできて、私が達した結論は、したがって以下(太字)ようになる。


 今の日本は、まず景気をよくせねばならない。そのためには、GDPの七割を占める国民の消費を増やさねばならない。それには消費税増税をやめ(思いきって消費税を撤廃する)、富裕層からの所得税を多少増やしてもらうことにより、税金から低所得者への所得の再配分を増やしてもらう。そうなれば、国民全体が消費を増やし、ものが売れるようになり、景気がよくなる。ものが売れることで売り手の所得が増え所得税が増えるから国の税収も増える。税収が増えれば財政支出を増やせ、景気をさらに上向かせられる。そうなれば消費がいっそう増える。こうして次々に景気がよくなっていくのである。


 筆者は、消費税増税をいけないこととしておきながら、結論で、消費税増税を勧めているととられかねない表現を書いてしまった。経済を景気に書き換えることで、そこを是正できると私は考えた。一言で第三章を言いかえれば、消費税増税をやめよ、となる。


 消費税増税をのまされたのは安倍晋三の失敗だった、という表現が至るところに散らばされている。以下にそれらをまとめて、挙げておくことにする。


11ページ
 安倍首相が財務省に消費税増税を押し切られてしまったのです。デフレのときに増税すれば景気が後退するなど、(途中省略)。たかが増税ひとつ止められず、何が戦後レジームからの脱却なのか。


96ページ
 首相の決断によって金融緩和に成功し、円安が進みました。株価につられて支持率も上昇するという好サイクルが生まれたのですが、景気を腰折れさせる消費税増税財務省に呑まされてしまいます。景気回復が頓挫すれば、日本を立て直そうとする安倍首相のシナリオは、すべて崩れてしまいます。


107ページ
 ……。ただし、池田首相が大蔵省を従えて日銀に勝利したのに対し、安倍首相は日銀に勝利しながら財務省増税はに従ってしまいました。この違いは、大勢に影響を与えることになるでしょう。


 リフレーン1
 集団的自衛権行使を首相に決断させよう
 http://blog.ohtan.net/archives/52004075.html


 リフレーン2
 日本と中国をいつまでも仲違いさせておくことは全欧米諸国の、ここ百年の基本戦略である(藤原正彦管見妄語」162、週刊新潮31号、平成24年から)