豊丘時竹の続続「平素の戯言」

エッセイでもコラムでも随筆でもなく、ミセラニーです。

『失敗の本質』は度し難い愚著

 太田述正コラムからコピペ(太字一部赤字)する。コラムのURL(イタリック)と書誌的事項はコピペの直前に置く。


URL;http://blog.ohtan.net/archives/52247560.html
太田述正コラム#8548(2016.8.15)
<皆さんとディスカッション(続x3070)>

<太田>(ツイッターより)

 「今こそ『失敗の本質』から学びたい-…日本が壊滅に向かって突き進んでしまう理由…」
http://diamond.jp/articles/-/98447
 経済力と一人当たり経済力において懸隔ある敵と戦えば多分負けるし長期的には必ず負けるってだけのこと
 「太平洋戦争は本当に避けることができなかったのか…」
http://diamond.jp/articles/-/97868?utm_source=daily&utm_medium=email&utm_campaign=doleditor
 米英のトップ2人が太平洋戦争を何が何でも戦いたかった…以上、日本がそれを避けることは不可能だったってだけのこと。
 71年1日のごとく、非生産的な「反省」を口にし続けてきた日本の識者達。
 (但し帝国海軍はホントに反省しなくっちゃな。)

<太田>

 経済力と一人当たり経済力・・・」について、補足しておく。
 以下が、諸君も概ねご存知のはずの史実だ。

 「開戦時の連合艦隊の山本長官は戦前に「日本は開戦から半年、もって1年は優勢を維持することができるが、それ以降はアメリカ(と連合軍)の国力が日本を圧倒するだろう」と述べていた。しかし国力で圧倒される以前に、戦略、戦術、用兵など全てにおいての拙劣さにより、<1942年6月5日〜6月7日の>ミッドウェー海戦で主力空母機動艦隊を壊滅させる損害を受けた。」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%83%E3%83%89%E3%82%A6%E3%82%A7%E3%83%BC%E6%B5%B7%E6%88%A6
 その直後の1942年8月7日からのガダルカナル島の戦いでも、日本は陸軍を中心に手痛い敗北を喫した。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%80%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%83%AB%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84

 しかし、全般的に海軍が「戦略、戦術、傭兵など全てにおいて・・・拙劣」であったことは間違いないとはいえ、客観的に見てより決定的だったのは、日米の「一人当たり経済力」の差だった。  まず、ミッドウェー海戦では、一人当たり経済力の差の基本的要因である一人当たり生産性の差、より端的には技術力の差、が、射撃指揮装置(GFCS)の性能差
http://blog.goo.ne.jp/goozmakoto/e/fd77d58ace7bb9f70903a5f6d2628e73
やレーダーの性能差
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%BC
が、戦役の帰趨にとって、はるかに決定的だったと見ざるをえない。
 (なお、レーダーの性能についても、「旧日本軍(陸海軍)のレーダー開発史においては、防空を主として重んじることから陸軍が先駆的存在であり、かつ陸軍上層部自体の理解も高いものであった。陸軍科学研究所において電波を通信以外の用途に利用する研究を開始したのは1932年、航空機探知を目的とする狭義のレーダー研究を促進し始めたのは1938年春、レーダー受信実験の成功は1939年2月。一方、海軍における本格的なレーダー研究は1941年5月から」(上掲)という有様であり、海軍の「拙劣」さ、というか、怠慢さ、が糾弾されなければならないが・・。)
 また、ガダルカナル島の戦いでは、「航空基地造成力に関し、日本は前時代的な人海戦術による非能率的な方法で長時日かけて飛行場を造成したが、米軍は機械力を全幅駆使して数日で滑走路を造成して航空兵力を展開し、局地の制空権を獲得していき、それに伴い日本側は海に陸に苦戦を強いられ、占領地を奪われていった」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AC%E3%83%80%E3%83%AB%E3%82%AB%E3%83%8A%E3%83%AB%E5%B3%B6%E3%81%AE%E6%88%A6%E3%81%84 前掲
ことが決定的であった、と見ざるをえないところ、この飛行場造成を行う際に、それを行ったのが海軍であったことから当然様々な拙劣さを伴った(上掲)わけだが、より基本的な、かかるブルドーザーの不存在
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%83%BC
に関しては、やはり、日米の一人当たり生産性の差、より端的には技術力の差、が、もたらしたものだ。
 このように見てくると、太平洋戦争において、海軍による真珠湾攻撃のように奇襲によることなく、それまで英米に対して連戦連勝を重ねてきた陸軍の「戦略、戦術、傭兵など全てに」おける卓越さに改めて瞠目せざるをえない。
 また、『失敗の本質』が度し難い愚著であることも、改めて強調しておきたい。


 リフレーン
 防衛キャリア30年大田述正
 最大の安全保障はアメリカからの独立
 http://blog.ohtan.net
(皆さんとディスカッションをクリックしてください)


 リフレーン2
 日本と中国をいつまでも仲違いさせておくことは全欧米諸国の、ここ百年の基本戦略である(藤原正彦管見妄語」162、週刊新潮31号、平成24年から)