豊丘時竹の続続「平素の戯言」

エッセイでもコラムでも随筆でもなく、ミセラニーです。

日本語教育能力検定試験

 NHK学園に送付したものの写しである。これまでなら学園の添削を受けた後で「月刊ずいひつ」に投稿するところなのだが、いまその雑誌は発行されていない。それで公表の場が欲しくてここに公表する。なお、NHK学園へは本名で登録してあるが、ここではペンネームで載せる。実際の体験をペンネームで書くのも変な話だが、まったき他人の方には、どちらでもあまり影響ないことだろうと考えている。


   日本語教育能力検定試験
                                 豊丘時竹
 今年十月十八日(日)に行われた「平成21年度日本語教育能力検定試験」を受けた。この試験は日本語教員・教師となるための試験、つまり外国人に日本語を教えることができる、ということを証明するための試験である。
 日本語教員・教師となるには大きく三通りの道がある。一つ目は、日本人であることをそのまま生かして、日本語を教えることである。日本語教員・教師は、合格しなくてはならない国家試験や、取得が義務づけられている公的な資格などはない。教えを受ける人達に受け入れられればなれるのであり、また日本語教員・教師を名乗ることも違法ではない。
 ところで、ここまで私は日本語教員・教師と使ってきたが、ふつうには日本語教師と称されている。日本語教育能力検定試験を実施している「日本国際教育支援協会」が、その実施要綱の中で「日本語教員」と使っているので、教師と教員を併記してきたのである。ここからは日本語教師だけを用いる。
 二つ目は、学士の称号をもつ人が四二十時間以上日本語教育に関する研修を受講した場合である。三つ目が、日本語教育能力検定試験に合格することである。あとの二つが日本語教師になるための一般的な道である。国家資格ではないが、日本語教師として日本語学校で働きたい人は、どちらかの資格が望まれるし二つあればさらにいい。外にも道はあるが、細かくなりすぎるので省略する。
 私は四二十時間の研修を千駄ヶ谷日本語教育研究所という学校で受講し、今年の三月に終了した。学士はもっていたので、四二十時間の研修を修了した日本語教師として日本語学校への就職活動を行った。三校受けて三校とも不採用であった。日本語教育能力検定試験を通ってないことが理由だろうと考えて、本年その試験を受けることにした。
 そんな状況のときにたまたま広報で、茨城県が主催する「茨城わくわく学園国際交流講座」があることを知った。外国の方々と接するためにはなにをすればいいかを知ろうと思い、五月からこれを受講し、現在にいたっている。就職活動が成功してからのことを先走ってとりかかったようなものである。
 そういう脇道に外れると、人は案外弱いものであるから、検定試験向けの勉強をするより、趣味でいいから国際交流の仕事にじかにたずさわれないか、と考えたりしがちである。なに受験勉強がしたくなかった言い訳に過ぎない。しかし試験そのものは受けたい気持ちがあったので、予備校に通うことにした。
 幸いなことに、千駄ヶ谷日本語教育研究所で、試験日の二週間前に終わる、検定試験対策講座を毎年開講していて、研究所修了生は少し安く受講できるのである。夏の暑い日曜日に毎週十回それに通った。午前は九時半から十二時半まで、午後は十三時半から十六時半まで、途中に十分の休憩を入れて、それぞれ一科目ずつの講義である。クーラーは効いていたが、かなりつらかった。
 とは言えこれがなかなかに優れものであった。受験科目全般にわたり、受験対策に秀でた講師がポイントだけを講義してくれるのである。どの講師も日本語教育能力検定試験対策のプロと言えた。全講師、記憶すべき要点、過去問、予想問題からなる自作の資料を用意してきて講義をする。先の四二十時間の研修、私から見たらそれが冗長に思えるほど、エキスだけが抽出されていた。
 なかでも私が一番感激したのは、音声・聴解の講義である。講義は四回にわたったが、毎回、五十音図表に基づいた調音点、調音法の復習から入るのである。「これさえ分かれば、音声・聴解はほとんど分かったようなものです」、と言わんばかりであった。おかげで私は音声・聴解に大いに自信がついた。
 さて当日である。私の試験会場は「早稲田ゼミナール高田馬場校」であった。九時開門で、試験は十時十分開始である。たしか九時半ごろに着いたように記憶するが、三割ぐらいの人がすでに来ていた。試験の一講次目が終わったときの混雑は大変なもので、四階建ての建物は人があふれかえっていた。二千人はいたのではないか、と今ちょっと目の子で計算してみたところである。
 試験はマークシート方式で、解答はすべて五つの選択肢の一つを選ぶものであった。知識を問う問題が多く、教えるという技術の証明にはなりにくいように思えた。その中で文法はいい問題であった。
 全体を通して易しいと感じたし、受験対策にあたる会社の評価もそのようであった。だからと言って合格したとはとうてい思えないが、はてさて来年はとなると少しく迷うのである。予備校の狭い机と木製のいすである。若いときなら知らず、こんな堅いいすに座ってやらされる試験はこりごりだと、今からもう言い訳を考えているのである。


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