豊丘時竹の続続「平素の戯言」

エッセイでもコラムでも随筆でもなく、ミセラニーです。

口に中に巻き込まれた薄い唇

「たそがれの人生を生きる」(田口 兵(まもる)、『架け橋』19号)。その一節に次の言葉があった。

「老いの細部を克明に刻んだ皺の深さ、皮膚の硬さ、長く白い眉、口の中に巻き込まれた薄い唇、今までそれほど気づかなかった分老いている影が、目に痛く映る」


 私は自分の顔をとくと見て、やけに唇が薄いのが気になって、下唇だけなら少し突き出すことで、唇を厚くできると書いた。そんな顔を四六時中続けるのはおよそ不可能だから、いつしか諦めていた。そして電車の中などで他人の顔をちらっと見て、老人の唇が薄いのに気がついた。私の唇が薄いのも年のせいだと気がついてきていたのである。田口先生の文章は、それを確認させてくれた。
「たそがれの人生を生きる」。上記の部分は、私に覚えがあるので書き写したのだが、書き写したい部分はこれだけではない。老いた友との、うまく言い表せないが、しっとりとしたひとときを描いて、美しい詩情が伝わってくる。肉体は辛いかもしれないが、老いるのも悪くないと私に想わせてくれた。


 リフレーン
 防衛キャリア30年大田述正
 最大の安全保障はアメリカからの独立
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 リフレーン2
 日本と中国をいつまでも仲違いさせておくことは全欧米諸国の、ここ百年の基本戦略である(藤原正彦管見妄語」162、週刊新潮31号、平成24年から)